メタリカについて

メタリカについて

映画を見る前に、バンドのことを知る

『メタリカ・スルー・ザ・ネヴァーという迷作』という作品を語る上で、筆者は1つの失敗を犯していたことに気付く。映画がどんなものなのかということを考えた上でまずは予習から、という人もいるかと思うが、筆者的に何も考えずに興味があったものから見てみようという性質だった。それが今回は仇となってしまったわけだが、何がそうなってしまったのかというと、そもそもの映画の主人公として、またコンセプトとして語られている『メタリカ』というヘヴィメタルバンドについて知識を得ていなかったということだ。

タイトルから気付くだろうと思う人もいるかもしれないが、残念ながら筆者はメタリカというバンドが全盛期活動している時代、姿形はあっても四足歩行でおしゃぶりをむさぼって、永遠にあの時間が継続していれば窮屈な社会で生活しなくても良かったのに、という赤ちゃんな時分だった為、彼らのことを知ったのは残念ながらこの記事を特集しているときにようやくその存在を認知する。

そう、この作品はそもそもメタリカというバンドをコンセプトに取り上げた内容となっているため、どちらかというと彼らを聞いていた青春時代の中高年の男女などが主な対象、もしくはヘヴィメタルをこよなく愛好している人達だけに限られている。何も知らない一般人からすればどうしてこんなバンドを主人公同然に引っ張ってきた作品などが公開されているのか、不思議に思っているだろう。映画といっても大半がフィクションで、現実にない世界を彩っている内容なものが多い中では、かなりの異色作品である事は間違いない。

だからこそ同映画を視聴する際にはまず、『メタリカ』というバンドに付いてきちんと知識として身に付けておかなければならない点があるため、初見でこの映画を見るのは正直なところ辛くなるはずだ。そういうわけで色々と調べてみたが、やはりロックバンドという定義の中ではかなりの有名人である事は疑いようのない事実らしい。

ヘヴィメタルバンドの頂点に君臨している

メタリカというバンドについては1980年代から活動を正式に始め、その後は90年代に入るとその人気はさらに増していくこととなり、なんといっても樹立した記録は華々しく、事実上現在でもアメリカのヘヴィメタルバンドのトップに君臨していると断言していい。成績の一端を少し紹介すると、

  • ・1990年代全米総売上アルバムランキング:4位
  • ・世界でこれまで売り上げたCDセールス総枚数:1億1,000万枚
  • ・ローリング・ストーンの選ぶ、歴史上最も偉大なアーティスト:第61位

このようにアメリカだけでなく、世界規模でメタリカというバンドのファンがそれだけ大きいということだ。日本でも昔を懐かしく思っている人もいるだろう、若い世代から徐々に成長して、中年と化した人達にとっては昔懐かしい歌を熱唱しているといったところだ。

ただ評される反面、ヘヴィメタルというロックバンドの派生から生まれた過激な内容の曲を扱うことが多いため、中には『問題作』などと呼ばれる作品を多く製作していることも、一方でスキャンダラスとして取り上げられてしまうことが多いという。それはそれでロックをキチンと踏まえた上で作品を作り上げているといえるわけだが、その類稀な音楽的センスに関しては誰もが脱帽してしまうほどの魅力を秘めている。

スラッシュメタルの四天王の一角

メタリカというバンドそのものの歴史を見ていくと分かるのは、彼らが非常に特異な存在であると言うことだ。そもそも彼らバンドはそれまでヘヴィメタルにはなかった新しいジャンル『スラッシュメタル』なる音楽を創り上げる事に成功する。その流れもあって、現在では主流になっているスラッシュメタルでは現在でも『スラッシュメタル四天王』などと呼ばれている。

新たなロックという音楽ジャンルを開拓したことによってその名を知らしめることとなったが、その影響もあってそれまで制作していたバンド楽曲も見事に様変わりしてしまうのだった。その流れを簡単にまとめて見ると、

・初期:ハードコアでもあるヴァイオレントさと横溢するスピードメタルを奏でていた。

・中期:叙情的なフレーズと冷徹なリフのコントラストを練った構成楽曲の中で表現する、オーセンティックな美意識にも通ずるヘヴィメタルへの変化。

・現在:スピードからグルーヴを重視した作風へと変化し、現在語られているニュートラルなどのロックシーンに多大な影響を与え、広く物議をかもし出すこととなる。

センシティブな内容表現となっているところなどを鑑みると、このバンドがどれだけ絶大な影響力を持っているかが理解できると思う。知っていれば同映画作品を見て楽しむことも出来るが、初見で予備知識無く見るのは辛いのがバンド映画の痛いところだ。また劇中では常にバンドが何かしら楽曲演奏をしていることもあって、ファンにとっては益々見所尽くしな作品になっているといえる。